概要

1. 概要

胆道閉鎖症は、新生児期から乳児期早期に発症する難治性の胆汁うっ滞疾患である。炎症性に肝外胆管組織の破壊が起こり、様々なレベルでの肝外胆管の閉塞が認められる。全体の約85%が肝門部において胆管の閉塞が認められる。また多くの症例で炎症性の胆管障害は肝外胆管のみならず肝内の胆管までおよんでいる。わが国における発生頻度は7,000から10,000出生に1人とされている。1989年から行われている日本胆道閉鎖症研究会による全国登録には2021年までに3,777例の登録が行われている。

2. 原因

原因としては先天的要素、免疫異常、遺伝的要素、ウイルス感染などの種々の説が挙げられているが未だ解明はされていない。病理組織学的検討などでは炎症性変化はTh1優位の炎症反応であることが示されている。また胆管細胞におけるアポトーシスの亢進などの現象は同定されているものの、このような現象を来す原因は未だ不明である。

3. 症状

新生児期から乳児期早期に出現する便色異常、肝腫大、黄疸が主な症状である。また胆汁うっ滞に伴うビタミンKの吸収障害のために出血傾向を来す場合がある。これに付随して頭蓋内出血で発症することがあり、全国登録症例の4.5%程度でこれを認め、出血の発症日齢は平均61.9日であった。合併奇形としては無脾・多脾症候群、腸回転異常症、十二指腸前門脈などがある。外科的な治療が成功しなければ、全ての症例で胆汁性肝硬変の急速な進行から死に至る。

4. 治療法

胆道閉鎖症が疑われる症例に対して、採血検査や手術の画像検索を行う。しかし最終的な確定診断は直接胆道造影が必要である。胆道閉鎖症の診断が確定したら、病型に応じて肝外胆管を切除して、肝管あるいは肝門部空腸吻合術が施行される。術後に黄疸が遷延または再発した場合や、上記合併症で著しくQOLが障害されている場合などには最終的に肝移植が必要となる。

5. 予後

胆道閉鎖症手術により黄疸消失が得られるのは全体の6割程度である。術後に発症する続発症としては胆管炎と門脈圧亢進症が代表的なものである。胆管炎は術後早期に発症すると予後に大きな影響を及ぼし、全体の約40%に胆管炎の発症が認められる。門脈圧亢進症では、消化管に発生する静脈瘤と脾機能亢進症の頻度が高い。消化管の静脈瘤は破裂により大量の消化管出血を来す可能性がある。脾機能亢進症は血小板をはじめとする血球減少を来す。また、門脈圧亢進症に伴い肺血流異常(肝肺症候群や門脈肺高血圧)を生じることがあり、予後に大きな影響を与える。自己肝で成人期を迎えた例でも種々の晩期合併症を抱え、あるいは徐々に肝病態が進行することも稀でない。2021年の全国登録の集計では10年自己肝生存率が51.2%、20年自己肝生存率が44.9%である。一般に、手術日齢が早いほど高い自己肝生存率が得られている。

<診断>

A. 胆道閉鎖症の診断基準

手術時の肉眼的所見と胆道造影像が、胆道閉鎖症病型分類(図)における基本型分類の3つの形態のいずれかに当てはまるもの。

B. 鑑別診断 以下の疾患を鑑別する。

胆道閉塞を伴わない新生児・乳児期発症閉塞性黄疸疾患、先天性胆道拡張症

胆道閉鎖症病型分類(図)
胆道閉鎖症病型分類(図)

C.その他参考となる検査所見

  1. 血液・生化学的検査所見: 直接ビリルビン値の上昇を見ることが多い。
  2. 十二指腸液採取検査で、胆汁の混入を認めない。
  3. 画像検査所見
    1. 腹部超音波検査では以下に示す所見のいずれかを呈することが多い。
      1. triangular cord sign: 肝門部で門脈前方の三角形あるいは帯状高エコー。縦断像あるいは横断像で評価し、厚さが4mm以上を陽性と判定。
      2. 胆嚢の異常: 胆嚢は萎縮しているか、描出できないことが多い。また胆嚢が描出される場合でも授乳前後で胆嚢収縮が認められないことが多い。
    2. 肝胆道シンチグラフィでは肝臓への核種集積は正常であるが、肝外への核種排泄が認められない。