概要
1. 概要
肝生検で小葉間胆管の減少はあり、画像検査などで肝外胆管には閉鎖がないものを指す。少なくとも5個以上の門脈域を検索し、小葉間胆管数/門脈数比が0.5以下(正常0.9-1.8)であるものを指すことが多い。特異的顔貌、心血管奇形、後部胎生環、椎骨癒合不全等の肝外合併症をもつ症候性のAlagille症候群は除外する。特徴的な肝外病変のないものを「非症候性肝内胆管減少症」と呼ぶ。
2. 原因
非症候性肝内胆管減少症の機序は不明。二次性とされる肝内胆管減少症には甲状腺機能低下症、汎下垂体機能低下症、先天性感染症(サイトメガロウイルス、風疹、B型肝炎ウイルス、梅毒)、染色体異常(21トリソミー、ターナー症候群)などがあるが、原因不明の症例が多い。
3. 症状
乳児期に黄疸、皮膚掻痒感、肝腫大、白色便、体重増加不良などをみる。血液検査では、総ビリルビン、直接ビリルビン、トランスアミナーゼ、総胆汁酸の上昇などを認める。
4. 治療法
胆汁排泄を促すウルソデオキシコール酸、フェノバルビタール、痒みに対してコレスチラミンなどを用いる。
脂肪吸収不全に対しては脂溶性ビタミン(ビタミンA, D, E, K)の補充、MCTミルクなどを用いる。重症例では肝移植が必要となる。
5. 予後
一過性で自然軽快する例は予後良好。重症例では、予後不良で肝移植が必要となる。
<診断基準>
肝生検で少なくとも5個以上の門脈域を検索し、小葉間胆管数/門脈数比が0.5以下(正常0.9-1.8)を示す。